私学助成の拡充で公私格差をなくし教育に公平を!
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市町村独自の私学助成制度の状況

2010年度 私立高校生への授業料助成制度の状況

※このページの情報は、2010年10月5日発行の『私学助成をすすめる会ニュース』の内容です。

●復活・増額(5自治体):
北名古屋市、美浜町、一色町、豊田市、新城市
●維持(38自治体):
長久手町、尾張旭市、愛西市、弥富市、蟹江町、飛島村、あま市、大治町、日進市、豊明市、犬山市、扶桑町、大口町、岩倉市、小牧市、豊山町、稲沢市、清須市、阿久比町、南知多町、武豊町、大府市、東浦町、東海市、幸田町、安城市、西尾市、吉良町、幡豆町、刈谷市、知立市、高浜市、碧南市、みよし市、田原市、設楽町、東栄町、豊根村
●廃止から復活へ(2自治体):
一宮市、江南市
●支給方法の変更(1自治体):
半田市
●廃止(5自治体):
瀬戸市、津島市、東郷町、常滑市、岡崎市
●減額・対象世帯の縮減(6自治体):
名古屋市、春日井市、知多市、豊橋市、豊川市、蒲郡市


県下57市町村の大勢は維持・増額

今年度より、公立高校が無償化され、私立高校生にも就学支援金が支給されることになりました。これを契機に「国が11万8800円を支給する以上、歴史的使命は終わった」(津島市長)などの理由で市町村独自の授業料助成を廃止・削減する動きが現れました。
私学の父母・教職員による「父母負担の公私格差は拡大している。市町村助成は一層重要」と訴える懸命の要請行動によって、県下57市町村中43市町村は昨年度より増額もしくは維持、一旦廃止を決めた7市町のうち、すでに2市が新制度を復活させる方向です。大勢は維持・増額なのです。


一宮市、江南市、半田市 制度廃止・削減からの大逆転!

一宮市は、3月26日、私学の父母教職員の眼前で、一律1万円の私学助成を廃止しました。その後、市議、議長、副市長、市長への要請を重ね、6月4日に公私格差の是正をめざす新制度を求める請願を提出。6月11日本会議傍聴、6月21日教育次世代委員会傍聴、そして、6月29日、多数の父母・教職員が見守る中、本会議で請願が採択されました。9月議会では新制度の議論が始まっています。「廃止されても復活は可能」であることを最初に示したこのドラマは、全県を大きく励ますものになりました。

江南市は3月初旬から議長、文教委員長、教育部長・教育副部長、教育長、4月16日には市長、教育長と要請を重ねましたが、制度廃止は覆せませんでした。しかし、その後も各市議への要請を続け、8月末には制度復活を求める請願を提出。9月16日、厚生文教委員会傍聴。請願が委員会採択。9月22日の本会議にて請願は採択され、来年度から制度復活への道が正式に開かれました。

半田市は4段階の所得制限で最高38,280円、最低14,640円だった制度を、年収830万円以下一律10,000円へ大幅減額する案を議会に提出。直ちに父母・教職員で、2月25日に教育部長、3月5日に副議長に要請し、3月24日に議長から予算総額は維持し、所得制限なし一律支給に改善するの回答を得ました。教育長からは「みなさんの熱意が市を動かしたのです」との励ましもあり、参加者は大感激でした。

すでに維持を決定しているところでも、当初は廃止方針であったところが多いのです。中には、市町村間の打ち合わせで教育長が廃止を意思統一していた地域まであります。しかし、そのような状況でも、各地域の父母・教職員が、私学助成の実情について、何度も何度も丁寧な説明・要請を重ねる中で、公私格差が大幅に広がっているという最大の問題点の理解を得て、制度の維持や増額へと方針を改めてきました。一宮・江南・半田の3市だけでなく、こうした表に見えない逆転のドラマがこの半年、無数に生まれているのです。


復活・増額への懸命の取り組み続く
削減・廃止の市町では請願で世論に打って出よう!

名古屋市は就学支援金と県予算を理由に独自助成の大幅減額を提案。補正予算で一定の増額を検討するとしていましたが、3月9日の本会議に160名の父母・教職員が駆けつける中で、市長、教育長共に予算手直しの姿勢など全くない答弁を繰り返し、本山市政以来、幾多の人々によって継承されてきた「教育の機会均等」「公私格差是正」という条例の崇高な精神は崩されました。請願を提出予定です。

豊橋市・豊川市・蒲郡市は、「県助成額の1/10」から「国の支援金を除いた、県単独分予算の1/10」へ縮小する方針であることが7月になってわかり、市民の怒りを買っています。

東郷町は、今年度分の予算は計上してあるにもかかわらず、「どうせ廃止するなら早い方がいい」と突然、廃止を打ち出しました。

このように、廃止・削減方向の12自治体には現在も要請行動が続けられており、それぞれ、制度の維持・復活を求める請願が準備されています。


最大の問題は公私格差の拡大

愛知県は財政難を理由に、県の授業料助成の昨年度予算68億円のうち36億円を削減しました。私学への就学支援金11万8800円全額は上乗せされず、特に年収350万円〜840万円(乙ランク)の家庭はわずか2万4000円の増額にとどまりました。その結果、約44%家庭では公私格差は9万4800円!も広がったのです。その上、私学への市町村独自の授業料助成が廃止・削減されれば、その分、さらに公私格差は広がってしまいます。今こそ地方自治体の真価が問われています。


【教育の機会均等と自治体の役割】


教育基本法 第四条 すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。
3 国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって就学困難な者に対して、奨学の措置を講じなければならない。
第八条 私立学校の有する公の性質及び学校教育において果たす重要な役割にかんがみ、国及び地方公共団体は、その自主性を尊重しつつ、助成その他の適当な方法によって私立学校教育の振興に努めなければならない。
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